シリーズ物の一作目の大事さを思い知る、森博嗣「すべてがFになる」

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ろこぶの読書好き、ミステリ好きはもう覚えていないくらい昔からで、

何が最初って覚えてないくらいなんですけど、

やっぱりターニングポイントのように「これは!!」っていう作品に出会うことがあります。

今日はろこぶのミステリ好きを更に深めた、「森博嗣」氏のデビュー作、

すべてがFになる The Perfect Insider

について書いていきたいと思います!

これはもうね、このブログの一発目にもってこようかと思ってもいたんですけれど

好きすぎてなんとなく出し惜しみしてました←

こんにちは、読書を思い知れ!ろこぶです。
読書って楽しいですよね。

ろこぶが愛してやまない、森博嗣氏の著書。
「すべてFになる」はデビュー作にして洗練されていて、「第1回メフィスト賞」の受賞作でもあります。

ちなみにこちら、2014年に、テレビドラマにもなりましたのでそちらで知っている方もいらっしゃるかも入れませんね。アニメにもなってます。人気作ー!!!

この「すべてがFになる」から始まる10冊は「S&Mシリーズ」と呼ばれており、主人公である犀川創平と西之園萌絵のファーストネームのイニシャル、「S」と「M」に由来しています。
犀川が大学の工学部教員で、萌絵が学生であり、萌絵は大富豪というキャラ立ちもしています。
世間知らずで好奇心旺盛な萌絵が事件に首を突っ込み、犀川が巻き込まれていくようなスタイルが多いです。

森博嗣氏のデビューにはいろいろと逸話があって、この作品、もともとはシリーズ第4作として構想されていたそうです。
(一作目として書かれていたものは、シリーズの二作目として刊行されています)
デビュー作は派手なほうがよいとの編集部の意向により、4作目として書かれていた「すべてがFになる日」が、「すべてがFになる」と改題されて刊行になったそうです。

うん、わかる。

シリーズの一作目って、ほんとに重要だと思うんですよ。

一作目を読んだ時点で、「今後このシリーズ買って、最後まで見届けたい」って思えるかどうか。
内容もわからない一作目を手に取るかどうか。

「タイトルと内容」両方重要になってくるシリーズ一作目。

やったね!!大勝利!!!!!

ってかんじです。この本は。

「すべてがFになる」ってなんのこっちゃ、って思うでしょう。でも、気になる。なんか気になる。
森博嗣氏はタイトルの付け方が本当に上手いと思っています。

かならず英題もついていて、「すべてがFになる」の英題は
「The Perfect Insider」これもかっこいい。

そう、かっこいい。

どれもこれも、タイトルがかっこいいの。
森博嗣氏の本を読んだことがない人は、ぜひとも本屋でタイトルだけでも見てみていただきたいです。最後に、S&Mシリーズの10作品のタイトルをのせておきます。
「おっ」て思うタイトル、心に引っかかるタイトルが、あるんじゃないかな、と思います。

タイトルだけでも「勝ったな」って思わせてくれるんですが、内容がまたいい。

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。
彼女は、天才工学者としてだけではなく少女時代に殺人を犯したことによっても有名人物であり、研究所の一画に隔離されている。
そんなある日、彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。
大学の研究室の合宿で島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。

大まかな内容はこんな感じです。

興味をそそられませんか?なぜ死体はウエディング・ドレスを着ていたのか?
どうして両手両足が切断されていたか…。
字面にすると恐ろしいですけれど、一種の美しささえ感じさせるような犯罪です。
※美しいからって犯罪を犯していいとは思いませんが。犯罪、だめ、絶対。

大学の研究室など、舞台が舞台なだけに難解な言葉が出てきたり、コンピュータの専門用語が出てきたりと不安要素もありますが、とにかくキャラクタがいい。解説してくれなかったりもするけど、それは読み飛ばしてオッケーってことだな??と勝手に理解してついていくッッ!!!!!

主人公2名だけでなく、周りもとてもいいです。
こんな人いないよ!!って思えるくらい感情表現が乏しい人もいれば、妙にリアルな人もいる。
「こんな人いないよ!でもいたらこういう思考回路なんだろうな」って思わせられるリアリティがあるんです。

シリーズ物は、主人公が変わることがほとんどないので、主人公に感情移入できない、またはあまり好感が持てない、という場合は次の巻を手に取ることはないかもしれません。

しかしこのシリーズは、読めば読むほどに登場人物の魅力がわかってくるはずです。
本当に頭がキレる人はどんな人なのか。自分で責任をとるから、と言って誰にも迷惑をかけないつもりの行動が、周りにどれだけ心配をかけているのか。

頭がいいってどういうことなのか。
自分の人生を自分だけで決めていいのか。
他人との関わりで、自分自身の価値観が変わることはあるのか。

いろんな視点から、自分の内面や、周りのことを見つめられるようになる、そんなシリーズだとろこぶは思っています。

ただ一点、ミステリは「あっと驚くトリックが大事」「動機の解明が醍醐味」という方は、もしかしたら不完全燃焼になるかもしれません。

このシリーズ、というか森博嗣氏の書くミステリは、そこに重きをおいていないように思うからです。このシリーズに関しては、主人公は大学の教員と生徒です。犯人の細かい心理や、動機まで理解できる方が不自然なんです。
そういう意味でのリアルさも、ろこぶは感じています。犯人ですら、自分の行動に完璧な理由なんて、ないことのほうがほとんどなんじゃないかと思います。うまくいえないけど。。

あと、このシリーズを読むときには「必ず」コーヒーが飲みたくなると思います。
なので、カップ一杯と言わず、コーヒーメーカーで濃いコーヒーをたくさん用意しておくことをおすすめします。

 

※森博嗣「S&Mシリーズ」一覧

『すべてがFになる  The Perfect Insider』
『冷たい密室と博士たち  Doctors in Isolated Room』
『笑わない数学者  Mathematical Goodbye』
『詩的私的ジャック   Jack the Poetical Private』
『封印再度  Who Inside』
『幻惑の死と使途   Illusion Acts Like Magic』
『夏のレプリカ  Replaceable Summer』
『今はもうない  Switch Back』
『数奇にして模型   Numerical Models』
『有限と微小のパン   The Perfect Outsider』

どれもすっごく興味をそそられるタイトルじゃないですか!
S&Mシリーズの紹介は、少し続けていこうと思っております。
それではみなさま、良い一日を。

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