「クローズドサークル」って、わかりますか?
それは小説やマンガだけではなく、映画なんかでもよくある、
「どこかに閉じ込められて出口がない。
出ることが出来ない状況で事件が起こる。しかも立て続けに。」
っていうわりと絶望的な状況です。
その場所に入ってしまった、閉じ込められてしまった経緯はいろいろあって、
・招待されたから来てみた
・友人たちと旅行や合宿で来た
・気がついたら(目覚めたら)ここにいた
など、自ら足を踏み入れたり理不尽に連れてこられたりと、様々なシチュエーションが存在します。
ただ、共通して「出られない」んですよ。
鍵がかかっている、出口がない、人質を取られている。
そうやって全員を一つの場所、または建物内にとどまらせ、その上で事件を起こします。
(大体の場合は人が死んでいくんです、残酷ですね。)
なぜそんな回りくどいことをするのかはいろいろ理由があるので割愛しますが、
中にいる方たちは「混乱する」ことになります。
なぜかというと、出口がないということは、外からも入れないということ。
(と考えるのが自然ですよね。)
ということは、事件を起こした人物が、閉じ込められている自分たちの中にいるということ。
「犯人は、この中にいる」
です。じっちゃんの名にかけて。
そうそう、「金田一少年の事件簿」なんかはほとんどクローズドサークルですね。
ろこぶもそういうミステリ、大好きです。
こんにちは。読書を思い知れ!ろこぶです。
読書って楽しいですよね。
本日ご紹介する米澤穂信著の「インシテミル」も、クローズドサークルもののミステリです。
「インシテミル」
英語表記は「THE INCITE MILL」
名前は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この本は、2007年に単行本が発売。
2008年、第8回本格ミステリ大賞の最終候補作に選ばれています。
(ちなみにこのときの大賞は有栖川有栖著「女王国の城」。これもとても面白いので今後紹介していきたいです。シリーズ物の最新刊でしたね。)
また、2010年に「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」として映画にもなっています。
主演は藤原竜也。綾瀬はるか、石原さとみなども出演しています。豪華。
ろこぶはこの「インシテミル」、発売当初に単行本で購入しています。
それくらい興味がわきました。文庫になるのを待てないくらい。
映画は原作の大きな筋は崩していませんが、登場人物が少し削られていたり武器が違ったりと、多少の変更がありますね。原作でないと伝わらない細かなニュアンスもあるので、ろこぶは原作を読むことをおすすめします。
さて、インシテミル。
まず不思議なタイトル。って思いませんか?意味あるのかな?って。
英語表記の「THE INCITE MILL」も、正確な意味はわからなくて、
INCITE…扇動する
MILL…すりつぶす
っていうのと本編の内容から、ぶつかり合うように扇動する、心をすり潰されるような状況になるようけしかける、っていう感じかなあ、と思います。
(※私は持っていないのですが、文庫版の方のあとがきでは「淫してみる」という意味だと触れられているそうです。
淫する、は、「みだらなことをする」「度が過ぎる」などの意味がありますが、
ここでは「度が過ぎる」の方の意味だと考えられます。)
内容ですが、正直、このタイトルの一言に尽きるかな、と。
「度が過ぎている。」
「ある人文科学的実験の被験者」になり、
7日24時間監視付きで隔離生活するだけで時給11万2000円がもらえるというアルバイトの募集。
応募して「暗鬼館」に集った年齢も性別も様々な12人の男女。
実験内容は、より多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う、殺人ゲームだった。
まとめると、こんな感じなんですが(ざっくり…!!!)
普通に過ごすだけで時給11万2000円もらえるのなら、殺し合いをする必要なんてない、と、普通なら考えると思うんですよ。
ろこぶだったら、絶対やらない。
でもその条件の提示のされ方、
殺人の起こり方。
疑心暗鬼になり、殺さなきゃ殺される、と思わせていく作りのうまさがこの本最大の魅力だと思います。
主人公(映画では藤原竜也が演じています)は、女性にモテたいので車がほしい。中古車でもいい。
それくらいの軽い気持ちで「暗鬼館」に来てしまいます。
(「暗鬼館」って名前からしてもう怪しいわ)
結末は語りませんが、この本の面白いところは、殺人の動機はわかりきっていること。
「お金を増やしたい」それだけです。
だからこそ、誰にでも殺人を犯す可能性があり、誰でもターゲットになる可能性もある。
犯人探しは、感情的ではなく合理的に行われます。それがなかなか他では見られない新鮮さを生み出しているように感じました。
また、物語の随所に、ミステリ好きな方なら思わずニヤッとするような、ミステリ名作のオマージュが散りばめられています。
厚みもありますし、そこそこグロい表現もありますが、戻り難い吸引力で一気読みしてしまいました。まさに小説世界にINしてみるっていう感じです。
ミステリ読むときって殆どの場合そうなんですが、この作品も違わず、おいしくて濃いコーヒーが飲みたくなります。
特にこの作品は、みんなで集まってコーヒーを飲むシーンが結構出てきますので、ろこぶももちろん用意しました。
家で飲むコーヒーはそのへんのスーパーで粉を買ってきてコーヒーメーカーで入れることが多いです、結構飲むのでドリップで一杯とかだと足りません。。
この本のお供にしたのはこれ。
「森彦の時間 森彦ブレンド深煎り」
森彦っていう北海道では有名な珈琲店と大手食品メーカーが共同開発したというこのコーヒー。
ろこぶは森彦のコーヒーがそもそも好きなので、スーパーで見つけてすぐ手に取りました。
好みは深煎り。深煎りのコク深さと、手がかかっているように感じられるまろやかさが好きです。
森彦は浅煎りも酸味が強くなるというよりはフルーティーさが際立つ感じになるので、酸味が苦手なろこぶも美味しくいただくことが出来ます。
でも深煎りのこのじんわりあったまる感じ、好きだなあ。
夏場はあまり熱いものを好まないろこぶでも、コーヒーは別格です。たっぷり入れて、たっぷり飲み、あまったら製氷機でコーヒー氷にしています(あまり推奨はされないかもしれませんが)。
お盆過ぎて日が落ちるのが早くなってきた最近、夜の時間をゆったりと、コーヒーとミステリですごしてみるのはいかがでしょうか。
それではみなさま、良い一日を。
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