「ミステリ研」って、小説とかマンガだとたまに出てくると思うんですよ。
「ミステリ研究会」
「推理小説研究会」
呼び方や規模は様々ですけれど、推理小説やミステリ好きな人々が集まって作品の是非について議論を交わしたり、トリックについてあつい自論を展開したり、
自分たちでもテーマを決めて短編を書いて発表しあったり。
ろこぶも、物心ついた頃から小説やマンガが好きで、特にミステリというジャンルにハマっていたので、
「ろこぶもミステリ研に入るんだ…!」
とか考えていた時期がありました。
でも、人生においてミステリ研に出会ったことはありません。
みなさんあります???
存在してますか????
していたのに気づかずに生きてきたんだとしたら
「ホーリーシットだ どちくしょう!」
(参照:僕のヒーローアカデミア 1巻 オールマイトのセリフより。ヒロアカ大好き!)
めちゃくちゃ入りたいと思っていたのに、既存の研究会は存在せず、自分で立ち上げるような勇気もなかったため、ろこぶはいまだに妄想と憧れだけを抱えております。
あと、なんとなく「ミステリ研の部長は眼鏡のインテリイケメン」っていうイメージだったので、あわよくばそういう人とお近づきになって、
部長「お、ろこぶ君の書いた今回の短編、トリックが盲点を付く感じでいいね」
(インテリ部長は女性のことを君付けで呼ぶという妄想)
ろこぶ「ありがとうございます!森博嗣さんの『すべてがFになる』から着想を得て…」
部長「うん、作品へのオマージュが感じられるね、素晴らしい。ろこぶ君、今度一緒に作品の舞台になったと思われる大学を訪問してみないかい」
ろこぶ「はい!ぜひ!!大好きな作品なので空気感を肌で感じてみたいです!」
部長「いや。うん、それもあるけど…デートに誘った、つもりなんだがな」
ろこぶ「えっ…!(トゥンク…!!!)」
…っていう展開を期待してたんですけど動機が不純すぎるしむしろミステリ研入るなっていう感じですね、本当に申し訳ありません。
こんにちは。読書を思い知れ!ろこぶです。
読書って楽しいですよね。
上記のような期待はしてましたがミステリを語りたい気持ちは本物です!(澄んだ目)
本日の一冊はタイトルにも書きましたとおり、
「十角館の殺人」
でございます!!!
不朽の名作!!ミステリを愛するものならば!!避けては通れない!!!
それくらい有名で面白くて、「いかにも」なミステリなんですよ。
この本は著者、綾辻行人のデビュー作で、なななんと1987年出版。30年以上前の作品であるのに、いまだに人気がありますね。
この作品から以後、作者は色々な「館」を舞台にした作品を発表し続けています。
「館シリーズ」と呼ばれておりまして、ろこぶは多分全部読んでおりますが、最初に読んだこともありこの「十角館の殺人」が一番好きです。
それにしてもこれがデビュー作って…才能に戦慄しますね。
綾辻行人著で言えば、2000年以降も「Another」のヒットが記憶に新しいので、そちらを知っている方もいらっしゃるかもしれません。映画化も、アニメ化もしました。純粋なミステリというよりはサスペンスやゴシックホラー感も融合されており、作者の引き出しの多さに驚かされました。
そんで、「十角館の殺人」ですよ!!!
ざっくりした内容は(ネタバレなし)
彼らの目当ては凄惨な四重殺人事件が発生した通称・青屋敷跡と、島に唯一残る「十角館」と呼ばれる建物で1週間を過ごすことである。
いわくつきの島で過ごす学生たちが、一人、また一人と何者かに殺されていく。一方その頃、本土では、研究会のメンバーに宛てて、かつての会員であった中村千織の事故死について告発する怪文書が送りつけられていた。
怪文書を受け取った1人である研究会の元メンバー江南孝明は胸騒ぎを覚え、中村千織の肉親と、本土に残っていた研究会のメンバー守須に相談しながら調査を始める。
といったものです。
そう、島と本土で物語が同時進行しており、交互に話が進んでいくんですね。
島にいる7人は、推理小説研究会という設定であり、メンバーは全員日本人です。
しかしその研究会では一部のメンバーは代々ミステリー作家の名前を受け継ぐという慣習があるそうです。(幹部、ということなのかな?割と名誉なことのように語られていました)
島の7人はエラリィ、カー、ヴァン、ポウ、ルルウの男性5名、そしてアガサ、オルツィの2名が女性という内訳になっております。
作品の雰囲気には合ってるから良いのですが、
リアルでこう呼び合っている方たちをお見かけしたらきっとガン見してしまいますね。
島ではどんどん事件が起こって人が減っていくし、本土では中村千織の出生の秘密が解き明かされていきます。
どうつながるのかもわからない2つの場所での出来事。残りページも少なくなり、どうなっちゃうの…どういうこと…?と混乱してくる頃にぽんと投げ込まれる、
「あの一行」
です。
多分意図的にだと思いますが、その一行はページをめくった一行目に書かれています。
そこまで無我夢中で読み勧め、はやる思いでページを繰っていた手が、
その瞬間ピタリ、ととまる。
思わず、前のページに戻って、ゆっくり読み直す。
ろこぶは、そんな体験をしたのは「十角館の殺人」が初めてでした。
その後読んだ本でも、いわゆるどんでん返し、とよばれる「仕掛け」に、驚いて手を止めてしまうことはあります。
しかし、初めてのこの衝撃は忘れがたい。
ろこぶのなかでどんでん返しといえば
この本、という印象になってしまいました。
信じ込んでいたものが覆される瞬間。
普通であれば、「やられた」と、絶望を感じるかもしれません。
でもミステリのそれの中には、爽快で、新鮮で、血が頭に登ってぐるっとするような心地よい興奮を与えてくれるものがあります。
多分、「ミステリが好きな人ほど騙される」。
ここまできっぱりとした敗北感をあたえてくれたこの本に拍手。
本の好みは千差万別、この本を手にとって、「その一行」にたどり着いたとき、「なるほど」と思う方もいれば、「やっぱり」と思う方もいるでしょう。
何も思わず読みすすめる方もいるかも知れない。
でも、ろこぶは、作者の思惑にまんまとひっかかり、作者が与えようとしてくれた面白さを完全に享受できたことに感謝して、この本を読み終えました!
どんでん返しもの故、一度読むと二度目以降の感動は薄れるかと思いますが、わかった上で詳細なディティールを読み込んでいくのも悪くない。
ろこぶは、この本、通算5回は読み返していると思いますが、やっぱり面白いな、と感じます。
これからこの本を初めて読む、という方がいらっしゃいましたら、次々に起こる悲劇を目の当たりにしながら、きれいに騙されていただくことを切に祈ります。
それではみなさま、良い一日を。
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